日別アーカイブ: 2026年1月26日

くにてつのよもやま話~スラブ配筋の要点—上端・下端・ひび割れの“三角関係” ~

皆さんこんにちは
株式会社くにてつの更新担当の中西です

 

スラブ(床版)は一見“面”ですが、支点とスパン、荷重の向きで力の流れがガラッと変わります。ワンスパンの“一方向スラブ”か、柱に四周支持された“二方向スラブ”かで、上端筋・下端筋・配力筋の意味が違う。さらに温度・乾燥収縮が乗ってくるため、ひび割れを“どこで受け止めるか”の設計意図を施工で実現することが最大の仕事です。ここでは段取り→配筋→写真→是正の流れで、スラブの“効く”手順をまとめます。

 

1) 力の流れを現場の言葉に
• 一方向スラブ:主筋はスパン方向の下端が主役。支点(梁・壁・柱頭)では上端に負曲げが出るため、上端増しが必要。
• 二方向スラブ:十字に力が流れる。下端直交二層が基本、柱周りはパンチング(せん断)に注意。柱頭厚み(ドロップパネル)や頭付きスタッドが指示される場合も。
• 床荷重:仕上げ・間仕切・設備荷重を見込む“長期”と、人荷・台車など“短期”。打設中の施工荷重は別腹で、支保工の計画が重要。

 

2) スペーサーと“面の高さ”を決める
• チェアスペーサー(樹脂/コンクリート)で下端筋のかぶりを確保。@600〜@900を目安に“歩けるグリッド”で配置。
• 上端筋はサドルスペーサーやトラススペーサーで水平を出す。型枠押し・踏み抜きで沈むリスクに先手を。
• 端部逃げ:端部は型枠に押し付けられやすい。側面スペーサーの追加とタイバンドで保持。

 

3) 配筋の段取り
1. 通り芯・開口位置の墨→支保工水平→スペーサー配置。
2. 下端主筋・配力筋→開口補強(開口径に応じ1D/2D/3D範囲)。
3. 上端筋・ひび割れ制御筋(温度筋)→柱周りパンチング対策を忘れず。
4. 継手の“ずらし”:同一断面集中NG。1/4スパン以上離隔を基本に。

 

4) 開口・スリーブの鉄則
• 開口四隅のL形補強は必須。辺長の2D〜3Dを目安に増し筋。
• スリーブは事前の三者調整(鉄筋/型枠/設備)。現場での一方的カット禁止。切るなら補強詳細の指示→是正写真がセット。

 

5) ひび割れと“仕上げ”の関係
• 温度・乾燥収縮のひび割れは上端に出やすい。上端温度筋を正しいピッチで。
• ひび割れ幅の管理は目地・スリットの計画にも関係。仕上げ業者と可視化(実寸テープ)で共有。

 

6) よくあるNGとリカバリー
• 上端筋の“沈み”→サドル増設+増し結束。人の通行ルートを限定して再沈みを防止。
• 配力筋の欠落→平面図の“細線”指定を見落としやすい。色鉛筆で塗り分けて加工帳へ。
• 柱周りパンチング筋不足→打設前ミーティングで柱ごとのチェックシートを読み合わせ。

 

7) 写真の撮り方
• 上端温度筋の@ピッチが一目で分かるようピッチゲージを添える。
• 柱周り(パンチング対策)は通り芯表示+定規のセット写真。
• 開口補強は四隅L筋が入っている角度で。

 

現場チェックリスト ✅ – 支保工の水平・沈下管理はOK? – チェア/サドルのピッチと数量は足りている? – 上端温度筋の@は図面どおり? – 開口補強と柱周りパンチング対策は完了?